厚生労働省予算要望報告
(※厚労省と参加者とのやりとりの内容を要約したものです。各自の発言について一字一句記録したものではありませんので、ご了承ください。)

日時 2003年7月22日 16:00〜17:30

場所 衆議院第二会館 第四会議室

要望団体 DPI(障害者インターナショナル)日本会議
     全国自立生活センター協議会
     全国障害者介護保障協議会
     全国公的介護保障要求者組合
     特定非営利活動法人 共同連
     特定非営利活動法人 こらーる台東

参加者 上記構成団体(北海道、福島県、宮城県、東京都、山口県、熊本県等)から約40名


厚生労働省出席者
 障害保健福部
  障害福祉課 高原課長、関口課長補佐、田野居宅支援係長
  社会参加推進室 竹垣課長補佐
  精神保健福祉課 青木係長
 職業安定局障害者雇用対策課 上野課長補佐


 

(厚労省からの回答を聞き、参加者から質疑応答)

○横山(全国障害者介護保障協議会)
 介護保障協議会の横山です。ここに来る前に(協議会と厚労省との交渉がもたれ)田野係長とも話をしたが、始めに予算ありきと聞こえる。我々は障害者の命の問題、生活の問題として訴えている。厚労省は、まず、予算ありきではないか。予算が深刻な状況というのはわかるが、障害者の命の問題として真剣に受け止めて欲しい。

○加藤(こらーる台東)
 精神障害のホームヘルパーの問題とピアサポートセンターの制度化、地域生活移行施策についてお願いがあります。
 ピアサポートセンターについては別の場を設けてお願いにいきたい。
 精神障害のホームヘルプは支援費に入っていない。精神障害の施策は非常におくれている。ヘルパーが使えて、自立体験にお金がつけば社会的入院をしている人が地域に戻ってこれる。精神障害も支援費にし、地域移行にお金をつけて欲しい。精神障害は身体、知的に比べて一番立ち後れている、サービスの上で差別を受けている。身体、知的障害と一緒にして欲しい。

○三澤(DPI日本会議)
 今のお答えについて、もう少し具体的に聞きたい。来年度予算にむけて努力するというが、どれくらい増加を見込んでいるか具体的に説明して欲しい。
 支援費予算については平年度化で9%になる。そして、それだけにとどめるのか、増やすのなら具体的にどれくらいの増を見込むのか。新障害者プランを実施するために支援費関連の予算をどう確保するのか具体的に聞きたい。
 次に、ホームヘルプサービスは今年280億円の予算だった。来年度はどうなるのか、もう少し方向性を聞かせて欲しい。
 施設から地域へということが基本計画にうたわれ、入所施設は真に必要なものとされた。具体的に、施設から地域へどれくらいの人を移行させていくということと、それにあわせてどういう予算措置をするのか伺いたい。
 入所施設の真に必要なものというのは、どういうものなのか。地域で必要ですと要望があがってきたら、地域が必要としていると認めて入所施設を作るのか。そうではないのなら、どういう具体的な精査をしていくのか。
 ホームヘルプの国庫補助基準については1月に大きな行動があり、これを受けて検討会が発足したので、そこで検討すると言うが、検討会は2年間の予定である。国庫補助基準については、いつの時点でどう見直すのか。今年度の支援費の実績は4・5月分があがってきていると思うが、それを見て、厚労省として今後の基準がどうあるべきか、どうとらえているか教えて欲しい。

○田野係長(障害福祉課)
 支援費の関係について、平年度化で9%かかる。しかし、それにとどまるとは思っていない。どれくらい上積めるのか、○億円、○%という具体的なことは現段階では言えない。平年度化に加えて、なんとか+αできるように取り組む。数字を具体的には応えるのは難しい。
 ホームヘルプの予算についてもできるだけの対応をしたい。地域移行でどれくらいの人が施設から地域に移行するか。これまでの予算要求の中では、どれだけの人を地域移行をさせていくということでの組み立てを行っていなかった。施設がどれだけ減って、在宅がどれだけ増えるという予算の計算はできていない、具体的に何人という計算はしていない。
 入所施設について16年度についてどういう方針でやっていくかについては、これから検討する。15年度については、在宅サービスの活用の状況などを都道府県にも考えていただいた。
 ホームヘルプの国庫補助基準だが、今、7月で、4・5月の支援費の実績が上がって来つつある。1年間の状況をみないときちんと検討できない。15年度の利用状況をみた上で、国庫補助基準の見直しになる。検討会についてもその方向で進めることになるだろう。

○高原課長(障害福祉課)
 支援費の関係、居宅介護の関係について予算の平年度化で足りるとは決して思っていない。それに加えての予算増をどれだけやっていけるかを厚労省内部で議論している。横山さんに予算ありきというように言われたが、決してそういうわけではない。しかし、予算が厳しいと言うことは切実に感じている。
 国庫補助基準は全国的なデータがある程度まとまってから本格的に検討することになる、その点で16年度に入ってからになる。行政として、じょじょに全国的なデータ、実績をとる作業をしていきたい。データについては少しずつでてくるので、それについて報告しながら議論させていただきたい。
 施設については、施設の機能を地域生活の支援にいかしていただくことが大事だと考えている。施設には、入所・通所施設がある。入所施設をとってもその機能が無駄だとは思っていない。施設の機能を地域支援のほうにもっていくように、施設側にもお願いしている。その中で、入所施設の数は真に必要なものとする。入所施設の整備は都道府県からでてくればただ認めるのではなく、その地域の事情をみながら考えていきたい。
 
○石毛えい子議員
 高崎コロニーの地域移行。長野県の知的障害者の施設である西駒郷も同様な動きがある。その前には宮城県福祉事業団の解体宣言がでた。そういう動向を見ると、入所施設の費用がどういう動向になるとつかんでいるのか。それとは別にあがってくる入所施設へのニーズとああせて、双方をどう見るのか。
 先ほど、施設は義務的経費、地域は裁量的経費と行ったが、両方とも支援費ということでは変わりない。必要でなくなった費用(施設)は必要な費用(地域)に回せばいい。全体の予算はシーリングがあるにしても、施策が変わっていく中で、予算のシフトがおこることについてどういう展望をもっているのか。それをもう少し聞かせて欲しい。
 ヘルパーの国庫補助基準はさしあたって、16年度は今年と同じとするのであるであれば、従前より下がらないことについてもその通りということいいのか。これは確認したい。
 
○高原課長(障害福祉課)
 高崎の国立コロニーのありかたについて、当事者として、運営に関わっている立場として、国立の施設の運営当事者という意味で見直しの議論をしている。それが先ほど言われた地方の入所施設の動向に影響することはあると思う。私どもは、知的障害者を対象に大規模な施設に長期間入ってもらうというコロニー政策は見直していくという基本的な考え方をもっている。金曜日にコロニーの検討会があるが、今後4〜5年のスケジュールを考えている。重度の知的障害者を町なかから離れた大規模な施設にいれるというコロニー政策の見直しということで具体的なプランを描いている。
 しかし、施設機能をすべて否定しているわけではない。施設の中身について細かい議論をする必要はないかと思う。入所施設も含めて施設が地域を応援できるような方向性をはっきりつけていく。
 ホームヘルプの国庫補助基準の議論については、検討会でも16年度に入ってから本格的に議論していただく。実績、データがあがってから本格的な議論をしたほうが良い。とはいっても、今年度、何も検討しないというわけではない。検討会での本格的な議論が16年度ということであって、本格的な見直しとは別に、見直す点があればご意見いただいて、見直す必要があると考えている。

○堤(町田ヒューマンネットワーク)
 先ほど、国庫補助基準について、15年度の実績を見てから16年度を考えると言われた。
 14年度の実績をさげないということで調整交付金ができたが、町田市では結局は15年度は14年度の実績どおりには支給されなかったし、新しい人は国の基準通りの125

時間が適用されている。これをベースに16年度の予算が組まれても必要量は足りない。要望でもあったように、一人暮らし障害者や障害者のみ世帯に対する特別に配慮がないと、町田市では施設から地域という展望がでてこない。
 
○高原課長(障害福祉課)
 町田市に限らず、自治体の状況については個別にできるだけ話を聞かせていただく方向で努力をしている。

○田野係長(障害福祉課)
 いろんな話あいの場で町田市の方がいらして、新聞報道だけでなく、当事者の方から話は直接伺っている。低い基準、実績で従前額を見られてそこから議論しては困るということはわかる。それについて、ここでははっきり答えられないが、国庫補助基準の問題点としては認識している。

○三澤(DPI日本会議)
 こちら側としては、一人暮らし障害者、障害者のみ世帯に着目した基準をつくる必要性があると言っている。

○樋口(スタジオIL文京)
 これまでがんばってきた自治体が、苦しくなるような国庫補助基準になっている。このまま分権が進めると、障害者の生きる権利が奪われて、施設から地域は絵に描いた餅になってしまう。
 従前額を保障という措置は、従前額が低い水準になっているということを踏まえて、一人暮らしや障害者のみ世帯のことを国がどう考えていくか示さないと解決にならない。

○岡本(自立生活センターさっぽろ)
 札幌市から来ました。札幌市では予算が足りないということで24時間の必要な人のサービスが決定されない。人工呼吸器をつけた人の介助の保障ができていない、その結果ボランティアに頼らざるをえない。最重度の障害者に予算が振り向けられるようにして欲しい。呼吸器がいつ外れるか、人がいないとたんがつまってしまうなど命にかかわることがおきている。命の問題ということを大きくとらえて欲しい。

○樋口(スタジオIL文京)
 札幌市は人工呼吸器をつけた人が何人か地域生活をしており、そのノウハウをもつセンターを頼って、各地から人工呼吸利用の障害者が引っ越してくる。その結果、札幌市の負担がどんどん重くなる。そういう障害者は財政負担になるので今後来させないようにしているのが現在の町田市の方針で、こういう自治体が今後続くことになる。そういうようなことにならない国庫補助基準の仕組みが必要。

○田上(重度障害者介護保障協会)
 熊本ですが、私どものところも自治体が予算がないということで必要な支給決定がされない。筋ジストロフィーの女性がベッドからのトランスファーに失敗して、ベッドと車いすの間にほぼ一日挟まるということがおこった。その人はその恐怖の精神的なダメージで外出を拒否するようになってしまっている。もうベッドの上から一切出たくない寝たきりの生活になってしまっている。
 その他に、過去にベルトに挟まって、ほんの3時間ほどの見守りがなかったためになくなった仲間がいた。24時間介助があればこういう問題はおこらなかった。予算を考える時にこういう実情も踏まえて欲しい。

○大久保(TIJ)
 宮城県の名取市からきました。宮城は比較的、福祉先進県と言われているが、支援費に関してはまだまだで、必要な時間数を各自申請したが、国庫補助基準の従前額の確保ということが逆手にとられた格好で、従前額しか確保されないで決定されてしまった。まだまだ必要な介護が支給されていない現状がある。変更申請を出しても、厚労省が決めた従前額の確保をという文書を使って変更申請は受けられないという回答がくる。必要なホームヘルプの時間数の確保ということついて自治体の誤解が多い。それについて国も考えてほしい。

○斉藤(コミュニティサポート研究所)
 知的障害者の地域支援をしている。親御さんが高齢で、就労している知的障害者の人の例について話す。支援費の支給決定の際に聞き取りを行ったケースワーカーが"あなたは良くやっている"と言うことで、支援が全くないか、外出の移動介護が月2時間程度しか決定されていない。親御さんが高齢なので、いずれは一人暮らしになることがわかっており、今後、地域で暮らすトレーニングとしてホームヘルパー、支援費を使っていくことが必要となっている。施設から地域に移行することもあるが、今、地域で親元にいる人の将来の暮らしについても考えないといけない。
 知的障害者は理解するのに時間がかかる、支援費についても理解し、利用することに時間がかかる。そういう本人のエンパワメント、当事者による支援活動が重要である。受け答えがしっかりできる知的障害者に限って、行政にごまかされて支給量がきられているという現実がある。

○樋口(スタジオIL文京)
 ほとんどの障害者はニーズを自ら言うことに慣れていない。そういう人に支援費を使いこなす力をつけるためのサポート体制が必要。精神のピアサポートセンターの要望をしたが、そういう当事者のサポートも含めた相談支援の充実が必要である。支援費を使いこなす力をつけないと、支援費は先細りで、施設から地域へという流れもでてこない。

○関根(町田ヒューマンネットワーク)
 素朴な疑問がある。これだけ多くの障害者が苦労して生活している。それなのに、なぜ、地域福祉施策は補助金なのか。人の命を守る負担金にするべきではないか。

○遠藤(福祉のまちづくりの会)
 福島から来ました。私たち重度障害者は必要なホームヘルプの時間が支給されていない。支給量が決まった時、町の福祉課からは時間ではなくて金額で示された。だから私は身体介護類型を使っていない。日常生活支援類型で時間を引き延ばしている。皆さんもそうだと思う。
 私たちの小さな町は貧乏だということで支援費を出せないと言われている。補助金でない方策を考えて欲しい。

○尾木(こらーる台東)
 生活者が単身で住んだ場合、何が必要か考えて欲しい。予算を組む際に、施設ではなく、一人で住んでいる身体・知的・精神障害の人がどれくらいかかるのか。それを考えて概算要求を考えないといけない。施設から意見を聞くのではなく、各個人が必要なサービスの量、そういう視点からニーズを拾い上げて欲しい。個々のニーズを調査して、当事者の声を聞いた予算要求をお願いしたい。

○加藤(こらーる台東)
 精神障害者のピアサポートをしている障害者団体は増えている。今日もこらーる台東以外の精神の団体がきている。ピアサポートセンターについて話をする個別の場を設けて欲しい。精神保健福祉課とはこれまで話をしてきている。私たちは台東区でこれまで5年やってきた。都から290万の補助金をもらって、ボランティアを主軸にして、理事会も障害者が2/3で構成し、週5〜6日開所して、相談や権利擁護、食事サービス、書籍発行による啓発活動などをやってきた。
 台東区に生活支援事業ができた時にピアカウンセリングを必須事業にするということで期待して、この4年間ピアカウンセリングの委託の要望をしてきたが、台東区は障害者に対してサービスを受ける側であって提供するという視点を持たなかった。生活支援事業の中でも一番大事な部分を抜きにした事業が立ち上がろうとしている全国各地の精神障害の生活支援事業についても本人不在の状態になっている。ピアサポートを始めた団体は各地ででてきている。来年度の予算をつけてくれないと、こらーる台東も危なくなってきている。これについて協議する個別の場を設けて欲しい。

○三澤(DPI日本会議)
 障害者雇用助成の制度改正については、先ほどの回答では、一定の条件を整えれば可能だということで、今後協議させていただくということで良いか。

○上野補佐(障害者雇用対策課)
 先ほどの話は予算にかかわる話ではなく、制度的な話ととらえている。今後、制度の話として進めていきたい。今回、要望について初めて聞いたので、もう少し時間をかけて検討したい。しかし、職場介助者、通勤支援の中で支援費事業者を断る理由はない。これまで何故できなかったかというと、これまでの制度は事業主が雇用したり委嘱した者が直接支援する仕組みであって、支援費事業者への委託は間接的な支援となる。そこが、支援費事業者がきちんと支援できるという確認ができ、制度として成り立てば、制度改正は可能でということで部局でも考えている。


○森沢(町田ヒューマンネットワーク)
 支援費制度の中では移動介護に通勤、(通年長期の)通学が使えなくなっている。障害者の社会参加、ノーマライゼーションが日本でも盛んに言われるようになって、だんだん障害者自身も自立生活を続ける中で社会参加をしたいという人の数が増えている。支援費制度では、通学、通勤、そういったことはできないということになっている。支援費制度の中で社会参加というと、どこかにレクリエーションに行く、病院に行くと言うことしか認められない。厚労省も障害者の社会参加をそういうものとしかとらえていない。障害者の生活実態にあった支援費制度に変えていって欲しい。

○石毛えい子議員
 いくつか具体的に、今後さらに相談させていただくポイントがあったと思う。
 居宅介護について今年度実績をどうとらえるか、引き下がっている実態を考慮しないと、従来額の保証は縮小再生産になる。これを受け止めて配慮を欲しい。
 障害者雇用助成の要望については、もう少し中味を詰めればいいということなので、宜しくお願いします。
 精神のピアサポートセンターについても協議の場を設けて欲しい。
 国と地方の財政の関係を考えると、地方交付税も人口規模などで補正をつけている。そういうなんらかの工夫をしてくれないと、他の地域から町田にきた人は出身地に戻ればいいという荒療治をしないといけないことになってしまう。
 今日の忌憚のない意見交換を受けて、厚労省には十分な予算確保していただき、また、参加の皆さんからもお知恵をだしてもらいたい。
 今日は、大幅に予定の時間をすぎて感謝申し上げます。

○高原課長(障害福祉課)
 当事者の生の声、切実な声を有り難うございます。24時間の介護が必要な人の命を守るということがありましたが、国民、皆でコスト含めて考えていかないといけない。幸い検討会もあるので、幅広くオープンに考えていきたい。今後ども是非とも宜しくお願いします。


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